VBAを少し触った程度の非エンジニアが、1ヶ月でアプリを作った話
gen-recetaを作る前、プログラミングの経験と呼べるものはほとんど無かった。学生時代に卒業論文でVBAを少し触ったことがある程度で、アプリ開発のようなまとまったコードを書いた経験は一度も無い。本業もプログラミングとはまったく関係のない仕事をしている。
きっかけは、日曜の作り置きで感じていた不便さ
一人暮らしを8年続ける中で、平日は仕事が忙しく自炊が難しいため、毎週日曜に1週間分の夜ご飯と弁当のおかずをまとめて作り置きする生活を続けていた。この生活の中で困っていたのが、残っている食材の期限や量の管理、買い出しのたびに何が残っているかを忘れてしまうこと、そしてレシピを紙のノートに記録していたことによる管理の煩雑さだった。何より、実際に「作る」作業そのものよりも、「何を作るか決める」作業の方がずっと大変だった。
これらをまとめて解決したくて、既存のアプリを探したものの、しっくりくるものが見つからなかった。それなら自分で作ってみようと思い立ったのが始まりだった。
AIに聞きながら、1日1時間、約1ヶ月
プログラミングの知識がほぼ無い状態からのスタートだったので、基本的にはAIに聞きながら、分からないことをその都度調べて進めるやり方をとった。作業時間は1日1時間ほど。平日の仕事後や休日の隙間時間を使い、これを約1ヶ月続けたところで、実際に使えるアプリの形になった。
一番つまずいたのは「無料で作る」という制約
技術的なことよりも、一番苦労したのは「完全無料で作成する」という前提での選択肢の少なさだった。便利な機能やサービスほど利用料金が発生することが多く、個人が費用をかけずに実現しようとすると使える手段が限られる。レシピの画像機能を入れなかった判断も、根はここにある。凝った機能を足すたびに、どこかで費用の壁にぶつかる。その都度、「本当に必要な機能か」「文字情報だけで代替できないか」を考え直す作業の連続だった。
未経験だったからこそ、判断基準が変わらなかった
技術的にきれいな実装や、いわゆる「定石」を知らないまま作り始めたこともあり、判断の基準は終始「自分が日曜に作り置きをする一人の生活者として、本当に欲しい機能かどうか」だった。画像機能を削って文字だけにする判断も、AIへの指示をタグ選択に置き換える判断も、開発者としての都合ではなく、実際に自分がスーパーの店頭で困っていた感覚や、ノートへの転記が面倒だった感覚から逆算して決めている。技術力よりも、日々の不便さの記憶の方が、このアプリの仕様を決めてきたように思う。
作ってみて変わったこと
アプリが形になってから、皮肉なことに「献立を考える」という作業そのものへの向き合い方が変わった。以前は面倒に感じていた部分を仕組み化したことで、逆に自分がどこで一番消耗していたのかが、作りながらはっきり見えるようになった。スーパーの店頭で長文を打つ手間、ノートへの転記、人数分の計算ミス。どれも些細なことに見えて、積み重なると献立決めそのものを嫌いにさせる要因になっていたのだと思う。
技術的には今も詳しくないままだが、実際に手を動かして形にしてみると、知識が無いことは案外大きな障害にならなかった。むしろ「わからないなりに、必要な機能から一つずつ聞きながら作る」というやり方の方が、余計な機能を作り込みすぎずに済んだ気がしている。