献立を考える気力がもう無い日に、実際にやっていること
夕方5時、冷蔵庫を開けて固まる。これがここ数年、平日ほぼ毎日続いている。中身は見えているのに、そこから「今日作るもの」に変換する工程だけがどうしても重い。1食あたり数分の作業のはずなのに、これを年間で数えると、単純計算で365回×3食=1000回以上、同じ意思決定を繰り返していることになる。しんどくて当然だと、ある時気づいた。
AIを使う前の献立は、正直に言うと肉と野菜の炒め物に近い、似通ったメニューと食材に偏りがちだった。パターンが決まってしまうと、そこから抜け出すきっかけ自体が無くなる。
スーパーの店頭で、AIに長文を打つのがしんどかった
AI(Gemini)に献立を相談すること自体は、アプリを作る前からやっていた。ただ、これが思いのほか大変だった。買い物の途中、スーパーの店頭に立ちながらスマホで長い条件文を打つのは、単純に姿勢がつらいし、通路をふさいで他のお客さんの邪魔になる。しかも主菜か副菜か、日持ちさせたいか、弁当に使うかなど、条件を細かく指定しないとまったく的外れな提案が返ってくるので、毎回ほぼ同じ内容を一から打ち直す羽目になる。おまけに、AIは会話を重ねるほど「この人は定番メニューを好むらしい」と学習していくのか、提案そのものもだんだん似たような内容に収束していく。せっかくAIに頼っているのに、また同じところでマンネリにぶつかる、という妙な状況になっていた。
トークン節約の発想から、テンプレート化を思いついた
あるとき、生成AIには入出力のトークン数に上限があることを知った。そこで、AIへの指示や回答の言い回しをあらかじめ「型」として決めておけば、毎回長々と条件を書かなくてもトークンを節約できるのではないか、と考えた。これが、今アプリにある「重視すること」「調理の気分」といったタグを選ぶだけで条件を伝えられる仕組みの発想の出発点になっている。
長文を打ち直す手間そのものをタグのタップに置き換えられれば、店頭でのストレスも、提案の偏りも、両方まとめて軽くできるはずだと考えた。実際に使うようになってからは、少なくとも「同じ入力を何度も打つ」というしんどさは無くなった。
レシピ帳と組み合わせている理由
献立提案だけだと、結局「これは何回も作ったことのある料理か、まったく未知の料理か」の両極端になりやすい。なので、自分が作ったことのあるレシピを蓄積しておく機能(レシピ帳)と、AIによる新規提案を両方使えるようにしている。知っている料理の在庫を増やしながら、時々AIに新しい選択肢を混ぜてもらう、というのが今は一番続いているやり方だ。
献立決めの負担を減らす方法は、突き詰めると2つしかないと思っている。選ぶ回数そのものを減らすこと(作り置き、繰り返しメニューを許容する)と、選ぶ作業の一部を誰か(人でもAIでも)に肩代わりしてもらうこと。両方を組み合わせるのが、現状では一番現実的だ。
今、実際に選んでいるタグの例
今アプリで選べる「重視すること」には、彩り、栄養バランス、手軽さ、日持ち、類似材料の消費のほか、最近になって冷凍向き・お弁当向きという項目も追加した。これは、平日の弁当作りで「冷凍できるおかずかどうか」「お弁当箱に詰めた時に汁気が出ないか」といった条件を、スーパーの店頭で毎回考え直すのが意外としんどかったことから足した項目だ。タグを増やすたびに「これは自分が実際に毎回考えていた条件か」を基準にしている。便利そうだからという理由だけでは足さないようにしている。
献立を決める作業は、正直なところ完全には無くならない。ただ、同じことを毎回一から考え直す部分だけは、仕組みで肩代わりできる。そこを地道に削っていくことが、今のところ一番効果を感じているやり方だ。